記憶の子供――きっかけと努力(3)
(前回より続き)
綾菜さん(仮名)は、中2になるころから、勉強で頑張ることについての文句を言わなくなりました。そしてそれは、彼女なりのやり方がはっきり決まってきた時期でもありました。
時間管理の徹底と集中力、この2つが、彼女の場合特に際立っていました。
家での時間を大部分勉強にあてているのですから、勉強時間の量も平均よりかなり多いのですが、それをダラダラ行うのではなく、あらかじめ決めた時間の計画に基づいて、きっちり行動していたのです。例えば8時から10分休憩と決めたら、8時きっかりに居間にやってきて雑誌など読んだりし、10分ちょうどでパッと立ち上がって勉強部屋に戻っていったそうです。
また、定期テスト対策の勉強を、4週間前から始めていました。
これだけ長いと、テスト対策勉強というより、日常の勉強計画自体が、定期テストを最終目標として組み立てられているというべきかもしれません。
勉強時間が長いだけではありません。
勉強を始めるとなると、すぐに全力で取り組みます。何かと理由をつけて、グズグズ延ばすようなことは、決してありません。そして、いったん勉強を始めると、途中で気をそらすことはまず無く、常に強い目つきで、テキストやノートのみを見つめ続けていました。
彼女の勉強に対する姿勢は、中途半端が嫌いという性格からくるものが大きかったようでした。
「勉強は嫌い。でも、やらなきゃならないのなら、やる! イ・ヤ・だ・け・ど」
そして、やる以上は、これ以上無理というくらいでないと気がすまなかったのです。
ある時、中1男子が部活について、やりたくないと愚痴りながら一応サボらずにいる話(地元の田舎では、中学の部活は必須です)を私にしてきたことがありました。たまたまその場に居合わせた彼女は黙っていましたが、おそらくこれは、彼女の最も嫌うやり方だったでしょう。
「やると決めたら、とことん頑張る。嫌なら、誰にどう怒られようが、絶対にやらない」
そういう彼女にとって、やりたくないからグズグズ、というのは、理解の外にあるらしかったのです。
白黒はっきりさせるのが好きな彼女は、ある一つのことがトップレベルで、それ以外は全部駄目、というのが理想だ、と私に話したことがありました。でも現実の彼女は、運動、勉強、ピアノ等、何でもそこそこ上位という、いささか器用貧乏なタイプになっていました。
そんな自分のことを彼女は好きではないようでしたが、努力にかけては、私の知る子供達の中では、確かにトップレベルでした。
(続く)
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綾菜さん(仮名)は、中2になるころから、勉強で頑張ることについての文句を言わなくなりました。そしてそれは、彼女なりのやり方がはっきり決まってきた時期でもありました。
時間管理の徹底と集中力、この2つが、彼女の場合特に際立っていました。
家での時間を大部分勉強にあてているのですから、勉強時間の量も平均よりかなり多いのですが、それをダラダラ行うのではなく、あらかじめ決めた時間の計画に基づいて、きっちり行動していたのです。例えば8時から10分休憩と決めたら、8時きっかりに居間にやってきて雑誌など読んだりし、10分ちょうどでパッと立ち上がって勉強部屋に戻っていったそうです。
また、定期テスト対策の勉強を、4週間前から始めていました。
これだけ長いと、テスト対策勉強というより、日常の勉強計画自体が、定期テストを最終目標として組み立てられているというべきかもしれません。
勉強時間が長いだけではありません。
勉強を始めるとなると、すぐに全力で取り組みます。何かと理由をつけて、グズグズ延ばすようなことは、決してありません。そして、いったん勉強を始めると、途中で気をそらすことはまず無く、常に強い目つきで、テキストやノートのみを見つめ続けていました。
彼女の勉強に対する姿勢は、中途半端が嫌いという性格からくるものが大きかったようでした。
「勉強は嫌い。でも、やらなきゃならないのなら、やる! イ・ヤ・だ・け・ど」
そして、やる以上は、これ以上無理というくらいでないと気がすまなかったのです。
ある時、中1男子が部活について、やりたくないと愚痴りながら一応サボらずにいる話(地元の田舎では、中学の部活は必須です)を私にしてきたことがありました。たまたまその場に居合わせた彼女は黙っていましたが、おそらくこれは、彼女の最も嫌うやり方だったでしょう。
「やると決めたら、とことん頑張る。嫌なら、誰にどう怒られようが、絶対にやらない」
そういう彼女にとって、やりたくないからグズグズ、というのは、理解の外にあるらしかったのです。
白黒はっきりさせるのが好きな彼女は、ある一つのことがトップレベルで、それ以外は全部駄目、というのが理想だ、と私に話したことがありました。でも現実の彼女は、運動、勉強、ピアノ等、何でもそこそこ上位という、いささか器用貧乏なタイプになっていました。
そんな自分のことを彼女は好きではないようでしたが、努力にかけては、私の知る子供達の中では、確かにトップレベルでした。
(続く)

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