敬語(7)敬語で注意すべき点[3]
【5.過剰な敬語の使用を避ける。】
例えば「おっしゃられる」は、「言う」の尊敬語「おっしゃる」に、さらに「られる」を加えています。このように、ひとつの動詞を二重に尊敬語化する表現を二重敬語といいます。
ある動作の主体に敬意を払っていると示すには、その動詞を一回尊敬語化すれば十分です。新しい情報を加えずに無駄な言葉を重ねる重言に近いため、二重敬語はできる限り避けます。
ただし「お休みになっていらっしゃいます」は二重敬語ではありません。「休む」「いる」のそれぞれを尊敬語化しており、ひとつの動詞を二重に尊敬語化しているのではないからです。もっともそれほど強い敬意を示さなくてもよいのなら、もっと簡素にしてもかまわないでしょう。
二重敬語は、第二次大戦までは強い敬意の表現として、皇室関連など特定の場面で使われ続けてきました。戦後になって敬語の簡略化の方針が採られたため、二重敬語は好ましくない表現となりました。
とはいえ「お召し上がりになる」「拝見いたします」など、今も広く使われる二重敬語もあります。敬語は時代による変化が著しいため、正誤を単純には決められません。よってどうしても個々の言葉ごとに、違和感の有無も考慮して判断する必要が出てきます。
ところで最近は、「ご負担いただくようなかたちになっております」のような、回りくどい表現が接客場面で目立ちます。敬語表現をすべて除けば「負担してくれ」なのですから、たいへん過剰な上に曖昧でよそよそしく、人によっては不快にさえ感じるでしょう。
【6.特に商用では、曖昧な表現を控える。】
直接的な表現を避け、物事をぼかしたり、遠回しに言うのを尊ぶ傾向が、日本では昔からあります。現代の若者言葉でも、「ビミョー」「普通」など、かなり顕著にこの傾向が見られるくらいですから、敬語表現ともなれば、あいまいな言い回しが一層盛んに行なわれます。
「その後おからだのほうはいかがですか」のような表現もそのひとつで、あからさまに質問せずに、曖昧に方向だけを示して慎み深さを表わす意図がこめられています。
しかし金銭のやり取りや商品の受け渡しなど、正確さが求められる場面では、「代金のほうは740円になります」などとぼかした表現をすべきではありません。先に挙げた「ご負担いただくようなかたちになっております」も含め、曖昧な表現は、責任の所在を曖昧にしたいという意図が感じられます。
また最近は「させていただきます」の濫用も目立ちます。相手の許可が必要な場面なら自然な敬語ですが、「休業させていただきます」のように、許可を求める相手が不明、もしくはもともと許可を求めるつもりがない場面では不適切です。「タバコを吸ってもいいですか」と言うなり火をつけて吸い出す人を、たいていの人は無礼、馬鹿にされていると感じるでしょう。「休業させていただきます」にはこのようなニュアンスがともないます。
この表現を容認する敬語サイトもありますが、慇懃無礼を気にしないで便利な丁寧表現と重宝するのは感心できません。細かいニュアンスに配慮しないのなら、敬語など初めから必要ありません。
過剰な敬語や曖昧な表現は、責任のがれや慇懃無礼を感じさせて、かえって逆効果になる可能性もあります。マニュアル敬語で済ませるような横着をせず、その場に合った適切な敬語を心がけましょう。
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例えば「おっしゃられる」は、「言う」の尊敬語「おっしゃる」に、さらに「られる」を加えています。このように、ひとつの動詞を二重に尊敬語化する表現を二重敬語といいます。
ある動作の主体に敬意を払っていると示すには、その動詞を一回尊敬語化すれば十分です。新しい情報を加えずに無駄な言葉を重ねる重言に近いため、二重敬語はできる限り避けます。
ただし「お休みになっていらっしゃいます」は二重敬語ではありません。「休む」「いる」のそれぞれを尊敬語化しており、ひとつの動詞を二重に尊敬語化しているのではないからです。もっともそれほど強い敬意を示さなくてもよいのなら、もっと簡素にしてもかまわないでしょう。
二重敬語は、第二次大戦までは強い敬意の表現として、皇室関連など特定の場面で使われ続けてきました。戦後になって敬語の簡略化の方針が採られたため、二重敬語は好ましくない表現となりました。
とはいえ「お召し上がりになる」「拝見いたします」など、今も広く使われる二重敬語もあります。敬語は時代による変化が著しいため、正誤を単純には決められません。よってどうしても個々の言葉ごとに、違和感の有無も考慮して判断する必要が出てきます。
ところで最近は、「ご負担いただくようなかたちになっております」のような、回りくどい表現が接客場面で目立ちます。敬語表現をすべて除けば「負担してくれ」なのですから、たいへん過剰な上に曖昧でよそよそしく、人によっては不快にさえ感じるでしょう。
【6.特に商用では、曖昧な表現を控える。】
直接的な表現を避け、物事をぼかしたり、遠回しに言うのを尊ぶ傾向が、日本では昔からあります。現代の若者言葉でも、「ビミョー」「普通」など、かなり顕著にこの傾向が見られるくらいですから、敬語表現ともなれば、あいまいな言い回しが一層盛んに行なわれます。
「その後おからだのほうはいかがですか」のような表現もそのひとつで、あからさまに質問せずに、曖昧に方向だけを示して慎み深さを表わす意図がこめられています。
しかし金銭のやり取りや商品の受け渡しなど、正確さが求められる場面では、「代金のほうは740円になります」などとぼかした表現をすべきではありません。先に挙げた「ご負担いただくようなかたちになっております」も含め、曖昧な表現は、責任の所在を曖昧にしたいという意図が感じられます。
また最近は「させていただきます」の濫用も目立ちます。相手の許可が必要な場面なら自然な敬語ですが、「休業させていただきます」のように、許可を求める相手が不明、もしくはもともと許可を求めるつもりがない場面では不適切です。「タバコを吸ってもいいですか」と言うなり火をつけて吸い出す人を、たいていの人は無礼、馬鹿にされていると感じるでしょう。「休業させていただきます」にはこのようなニュアンスがともないます。
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過剰な敬語や曖昧な表現は、責任のがれや慇懃無礼を感じさせて、かえって逆効果になる可能性もあります。マニュアル敬語で済ませるような横着をせず、その場に合った適切な敬語を心がけましょう。


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