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2008-09

子供と遊び(4)

子供の遊びを成立させる条件のうち、あそび空間についてはどうでしょうか。

前回紹介した仙田満氏は、子供の遊びの原空間として次の6つを挙げています。

<中心的な空間>
• 自然スペース

  小川・林・土手・洞穴など。魚や虫をとり、木に登り、
  土手をすべりおりる。
• オープンスペース
  広場・原っぱなど。鬼ごっこ、陣取り、野球などのゲー
  ムにふさわしい広がりのある場所。
• 道スペース
  車の来ない路地。子供たちが出会い、駆け回り、あそび
  の拠点をつなぐ。

<従の空間>
• アナーキースペース

  廃材置き場・工事現場など。混乱に満ちた空間。想像力を
  刺激し、ワイルドな遊びをする。
• アジトスペース
  大人に隠れて作る子供たちの「秘密基地」。共同体意識、
  裏切り、暴力など、対人的知能の育成に関わる。
• 遊具スペース
  児童公園など。

これらを見て思い浮かぶのは、「ドラえもん」のキャラクターたちが駆け回るような、何十年も前の光景ではないでしょうか。子供の遊び空間は年を経るごとに悪化しており、「遊具スペース」以外は一般にほとんど消滅しています(地域により違いますが)。

飾りとしての緑はともかく、「自然スペース」としての緑地は都市部では激減してしまいました。どの道路も舗装されて車が入り込み、もはや子供が余裕をもって遊ぶ場ではありません。田舎でも事情は変わらず、大都市のような大きな公園も無いために、遊び空間がいっそう乏しいのが実情です。児童館が開放されているなど、子供の遊び空間を確保する工夫がされている地域もありますが、そうでない所のほうが多数派でしょう。

「都会の子どもたちは、ビルの谷間、マンションの屋上、駐車場、商店街、校庭開放など、『遊び』の“すきま”を見つけて遊んでいる」という声もあります。
(http://www.rikkyo.ne.jp/~htanaka/05/Shakyo2_0505.html)
子供は遊びの天才だからどこでも上手に遊べると信じている人も多いでしょう。しかしそういう人たちは、「子供の遊びの行動半径は近隣に限られる」「遊びの虚構性を保てるだけの空間的余裕が欠かせない」という2点を忘れていると言わざるとえません。「すきま」はしょせん「すきま」にすぎず、他に無いから仕方なくそこで遊んでいるだけです。

ただ広いだけの公園も、子供の遊び場として最適とは言えません。もぐりこんだり、覗いたり、からだの一部を入れたりできる「穴」(子供はこれが大好きです)もありませんし、「めまい」を体験できる部分もありません。ただ広いだけで、想像力を刺激する構造にもなっていません。大人の休息所というイメージでしかない公園が多いのです。

「あそび時間」「あそび集団」「あそび空間」の減少は「あそび方法」を貧しいものにしてしまいます。2人かせいぜい3人が少しの時間「すきま」で遊ぶ程度では、熱中できるような複雑な遊びができません。おもしろい遊び方が伝わらず、夢中になって遊んだ経験がないために、戸外で遊びたいという意欲そのものも乏しくなってしまいます。

子供は遊びの天才だから大丈夫と能天気に決め込まず、子供の遊び環境をいかに確保するかを真剣に考えねばなりません。例外的な事件には世間もマスコミも過剰反応しますが、地味ながら全ての子供を巻き込んでいる問題には残念ながら鈍感です。

くり返しになりますが、「ゲーム脳」などと怪しげな言葉をこしらえ、叩きやすいものを悪者にして済む問題でもありません。
(続く)
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